巻頭言

 最近はどのホームページを開いても、震災のお見舞いが出てきます。あれから1年、好転したと言うよりは問題が明確になってきたように思っているのは私だけでしょうか。
 毎日毎日生きていくことがどんなに重たいことでしょう。皆さんの中には直接被災地に行かれた人もいるでしょう。募金をした人もいるでしょう。いったい何ができるだろうと日々考えている人もいるでしょう。中継のテレビを見ていると健気にがんばっている人の姿に感動したり、逆に励まされたりすることも多く印象に強く残ります。
 ところで、落ちついて考えてみると、私たちの仲間(言語聴覚士やリハスタッフ)はどうしているのでしょう?私たちが支援の対象としている人たちはどんな暮らしをしているのでしょう?と、私たちの知らない姿がたくさんあることに、気がつきます。そこに思いをはせ、想像することができているでしょうか?
 先日、県内の作業療法協会、理学療法士会と合同の訪問リハビリテーションの研修がありました。今年もたくさんの参加があり、うれしいかぎりです。病院や施設での支援から地域まで含めての支援に変わってきていることが、私たちの職域に厚みを持たせてくれます。病院や施設へ来所された患者さんを評価し、訓練目標を立て、達成する。ここで終わりではないと思いながらも、次の患者さんに出会うことで忘れていることも多いものです。「身につけた技術や知識が生活のどんな場面で役立っているだろうか」「患者さんのQOLをあげているだろうか」と想像してみてください。失われた機能を補完する、発達の次の段階の課題を機械的に行う作業に埋没していませんか?病気や障害をもった方の生活環境や、家族間のコミュニケーションは、当然変わってきます。その場面で、役に立つ支援を考えるためには、想像力が必要です。生活の具体的な場面で、使える知識や技術を、患者さんやご家族と一緒に作りあげることができるようになるとすばらしいなと感じています。
 想像力のある言語聴覚士をめざしませんか?
 

会長 浅田 里美